出口こずえ写真展「緑羅」。

ギャラリー冬青の出口こずえ写真展「緑羅」を観てきた。

これほどまでにトーンが限定されながらも美しいプリントを見たことがない。遠目から見ると真っ黒なプリントが並んでいるだけ。何が何だかわからない。しかし、近寄っていくにつれ、一枚一枚が、徐々に像を浮かび上がらせて、草花が目に飛び込んでくる。

ディープシャドーから次の次の、その次のグレーまで。その限られた階調のみで被写体を写しだしている。これが恐ろしく美しい。

作品の完成像が見えていて、そのベクトル向かって、撮影する季節、時間、現像、プリント。ありとあらゆる条件を徹底的に限定して作られる。割り切りと潔さは感服するしかない。

女性の写真家には、「どうしてそうやって撮ったのですか?」という質問に対して、「これしか知らないから」とか、「これにしか興味がないから」としれっと言う方が多いきがする。

自分で限定するだけでなく、知らないから、興味が無いからという理由で、自ずと限定されてゆくのだ。これが作品の力を生む気がする。これには敵わない。

この作品に出会えたことに心から感謝したい。作品に誠実に取り組まれている写真家の方がおおいに活躍されることを願ってやまない。そんな気持ちにさせてくれる作品だった。

写真に興味が無い人でも、ぜひ一度見に行った方が良いと思う。自分にとってそれくらいの驚きだった。