濱田さんの写真展。以前、銀座ニコンサロンで拝見して以来、気になる作家の一人だった。その時は「混濁」というシリーズだった。タイトルが秀逸でとても印象に残っている。今回は「INSOMNIA 」。不眠症という意味らしい。同じ雪をモチーフにしながらも、テーマが異なる。いずれも自宅周りの雪を撮り続けたシリーズだ。
北海道在住の濱田さんにとって、雪は日常であり、いつも見ているものであり、避けては通れないものだろう。豪雪地に住む人たちにとっては、雪と聞けばまずもって鬱陶しさが募るかもしれない。だからかは分からないけれど、雪を美しいものとして撮っていない。アスファルトに残る泥混じりの雪。窓を塞ぐようにうず高く積った雪。雪掻き後に道端に寄せられた塊のような雪。その眼差しにとても興味を惹かれる。
こういうモノクロプリントを見るとテンションが上がる。ぞわぞわっとなるな。
数年越しの念願叶って冬青社から写真集を上梓された。これもまた秀作。印刷は言わずもがな。表紙のデザインも作品のイメージととてもよく合っている。判型も丁度良い感じだ。ちなみに個人的には光沢紙のカバーを外すと最高にかっこよいと思う。
次は新作で臨むとのことだった。濱田さんの新たな視点がどう写真になるのか楽しみでならない。