下平竜矢写真展「星霜連関」@新宿ニコンサロン&東塔堂

下平さんの展示を見てきた。時期が少しずれてはいるが、新宿ニコンサロンと東塔堂のほぼ同時開催だ。

以前から「下平竜矢」という名前は聞き及んでいた。トーテムポールフォトギャラリーにも所属していたことも知っていたが、なんとなく今まで見る機会がないままだった。

初めての下平竜矢さんはごく最近の話で、写真集の「星霜連関」。たしかFBのタイムラインにそれが出てきて、すかさず写々舎のサイトで購入。これが無茶苦茶かっこよかった。すっかり下平ワールドにハマってしまう。

禅フォトの個展を見逃していたこともあり、必ずどこかでプリントを見たいと思っていたところ、早々に新宿ニコンサロンと東塔堂の同時開催をするという。10年間の集大成。怒涛の展示ラッシュだ。

先に東塔堂へ。下平さんも在廊されていた。風景のミニプリントが十数枚並んでいた。写真とナチュラルウッドの額装は店内とうまく溶け込んでいる。風景写真のみのセレクトで、写真集で感じた熱量が抑えられて、どこか神々しい静けさを漂わしていた。

下平さんに伺うと、ニコンの方は人物を交えた「星霜連関」の全容を掴めるセレクトで、東塔堂は試験的に風景だけを選んでみたという。「どうなるかはわからないけれど」と付け加えつつも、「これからは風景を追っていきたい」と言っていた。ここでは小部屋の滝の写真が気になった。

それから日を改めて新宿ニコンサロンへ。会場に入るやいなや総毛立ってしまった。写真集の持つ熱量をさらに上乗せしたような印象。でも激しさや苛烈さではなく、どこまでも厳かな雰囲気だ。

こちらもナチュラルウッドの額装で、プリントとのバランスがとれていて、品よく仕上がっていた。モノクロには黒枠という不動とも言える定番があるけど、見え幅やマットのバランスが良ければ、これだけかっこよくなるのだと実感する。

下平さんのサイトに記載されている「星霜連関」の言葉が簡潔ながら印象的で、今回の額装がしっくりきた理由にもなる気がする。

人間はどこから来てどこへ向かうのか

人、土地、祭り

幾星霜をかけ、天地(あまつち)と関わり続ける人々と土地の神話

Tatsuya Shimohira – 星霜連関 SEISORENKAN

大げさかもしれないけれど、ウッドフレームが、どこか「宮造り」のようにも受け取れた。額装には単なるセンスの良いとかではない、必然性を感じた。ニコンはよく練られた完成度の高い展示だったし、東塔堂は実験的なランドスケープのセレクトで、これからの期待感が膨らむ展示だった。