今回は気分を変えて、東京ステーションギャラリーのジョルジョ・モランディ展へ。油彩もドローイングもほんと良かったけど、エッチングが特に好みだったな。同じようなモチーフを飽きもせずこれだけ書き続けたことはすごいと思った。側から見れば飽きもせずとなるけれど、本人にとって、それどころか、この繰り返しがとても楽しく、発見の連続だったのではないかと推察する。
前回の投稿でも書いたけど、個人的に「二枚組」が緩く長く続いているブームで、写真展や写真集に限らず、いろんなメディアで、組み物の最小単位である二枚組(一対)が成立してそうなものを探すようになった。
この展覧会でもまた一つヒントを得た。まさにモランディのようなアプローチで組み合わせると、違いに引っかかりを持ちながら、見ていて心地の良い構成になる気がする。
同類の収集だとタイポロジーが思い浮かぶけど、それと、この二枚組のマッチングとは意味合いが違うかな。ベッヒャー夫妻の給水塔とかは、もっと複数の集合体で何かを見せようとする試みで、グリッド状に面で並べることでそれが強調される。
方や二枚組はもう少し類似の差を詰めて「微差」や「酷似」というニュアンスまで持ってくると面白くなる気がする。モランディ展でも、擬似的に二枚組に見立てながら観賞したら、これがなかなか良い。そうそうこれこれという感じ。
あくまで持論。専門家からすれば、すでに出尽くされた方法論かもしれないけど、素人なりに探求するのもありかなと。機会があれば枚数組について教わってみたい。
ジョエル・マイロウィッツがモランディのモチーフにしていた小物たちを撮影した写真集と今回の図録を見比べて見るとまた面白い。アトリエ写真はいろんな写真家が撮っているようだけど、何か惹きつけられるものがあるんだろうなあ。