奥山由之さんの写真は、とにかく写真だなって思った。尾ひれもはひれも無い写真。単純に楽しく見られる。ホンマタカシさんの序文で補足はされているけれど、全くと言っていいほど理屈遊びはしていない。
光の捉え方をテーマにしているとある。そもそも写真は光が無ければ写らない。これ以上ない大前提がテーマだ。写真は光と陰っていうけれど、どちらが先かといえば、絶対的に光が先。陰を捉えるってことは、光を捉えていないといけない。光がなければだだの真っ黒けだ。
光がテーマと聞くと、あまりにも当たり前のことなので、「なんだ普通だな」って軽く流したり、「じゃ、コンセプトは?」って深読みしたりしないで、ただ観るのが吉。シンプルにいい写真はいいんだと思える感情は理屈を軽やかに超える。
今は写真がちょっと小難しくなっているかもなって思ったりする。まあ、別いいと思う、小難しいことがあっても。興味を引くことも多いし。でも、写真の魅力に触れた時ってどんな時だったろうかと、思い返してみても良いのではないだろうか。
写真はアートだとか、写真は写真でしかないとか、あれこれ線引きをしたり、線引きしなかったりするのは勝手だし、私もいろいろと写真の意味合いを勝手に勘ぐっている。
だからこそ、根本的な写真の愉しみは忘れてはいけないなと思う。奥山さんの写真を観るとそんな気持ちになった。
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