有元伸也写真展「Tokyo Circulation」@Zen-Foto Gallery

有元伸也さんの「ariphoto」シリーズが「Tokyo Circulation」と題して禅フォトギャラリーから発売された。これからも継続するシリーズながら、まさに「ariphoto」10年の集大成といえる。

これまでTPPGなどの展示に合わせて「ariphoto selection」として発行している。vol.3からは最新のvol.6までは買うことができた。いつも500部限定で、号を重ねるたびに完売ペースが加速している人気タイトル。毎回なるべく早く手に入れるようにしている。vol.1(2010)、vol.2(2011)は、写真を始めたばかりの頃で、欲しい時にはすでに完売していた。古書でも出回らないため、いまだに入手できていない。

今回の上製本は「ariphoto selection」と判型を合わせつつ、一段も二段も高品質になっていて、スリップケース付きの豪華な写真集に仕上がっている。表紙が2種類用意され、シルバーとブラックが選べる。さっそく写々舎でシルバーを予約した。ブラックも渋くて捨てがたいが、迷いなくシルバー。表紙はあの「すみえさん」。「ariphoto」で幾たびも登場する方だ。無茶苦茶かっこよい。しびれる。

禅フォトでは出版記念の展示も開催され、会期終了間際にこちらも観にいけた。やっぱり間違いなし。スクエア・モノクロ・ポートレートの達人、ここにありって感じ。階調豊かでかつ引き締まったモノクロプリントは絶品。撮影から暗室ワークまでが完成されていて、撮影からすでにプリントの品質が約束されているからこそ。機材の変遷や感材の問題はあるにせよ、ようは難しいことをしていないっていうのがミソだ。どこかの工程でこねくり回したり、いじり倒したり、帳尻を合わせたりしない。やはり撮影は適正露出ってのが奥義で、いかにシンプルに徹するかだと思う。

場所や時間も含めてここまで作品づくりを徹底的にルーティーン化して、量を積み上げているのは並大抵ではない。同じことをコツコツと続けることが、人物をあぶり出し、その変化を際立たせる秘訣なんだろう。移り気な自分にはとうてい真似できない作業だ。

有元伸也という写真家を見ていると、つい宮沢賢治の「雨ニモマケズ」が頭に浮かんでしまう。いつも謙虚で誰に対しても腰が低い。実直で妥協しない。面倒見がよくて、義理堅い。どうにも生き様がかっこよすぎる。

蛇足ながら、個人的に有元さんが新宿区とコラボしたら、なんか面白いことになりそうだと勝手に思っている。新宿区の職員の方、一度でもいいからTPPGに足を運んでみてください。もちろん都の方でも大丈夫です。

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