落胆というほどでもないんだけど

ある写真展を訪れた。銀塩プリントには定評がある方だ。モノクロをやっている人なら憧れている人も多い。まずは壁の写真を観賞する。ひとしきり観終わるとタイトルが気になった。どういうことかなと思い、せっかくだから作家さんに質問をしてみた。すると想像していたよりも、手ごたえのない答えが返ってきた。別の写真展を拝見したり、雑誌やブログを見たりする限り、感覚的なことを大切にしながらも、ちゃんと言葉で丁寧に説明してくれるタイプだと思っていた。かなり意外だった。

さらに疑問だったのがトークショー。なぜか当事者である作家さんが「聞き役」に回っていた。自分の個展で旧知のゲストを迎えての対談だったが、自作を語らずにゲストの話を引き出しては、話すがままにさせていた。これはいけない。百歩譲って、聞き上手なタイプだったとしても、そこは努めてしゃべらなくては始まらない。だって自分の個展なんだから。話すのが苦手ならフリートークではなく質問形式にしてもよかったはずだ。いっそ気心の知れた仲でなく、それなりに緊張感を生む目上にお願いするのも手だろう。内容もさることながら、事後の対応も含めてトークショーとしてたいへんお粗末だった。

どうにも方向性が見えてこない個展だった。この人は何を伝えようとしているのだろうか? 何を見せたかったのか? そもそも写真で伝えたいことや見せたいことが特になかったんじゃないだろうか? もし何かを伝えることがなくても「部屋に飾りたくなるような美しいトーンのプリントを作りたい」でもいい。それはそれでコマーシャルギャラリーで個展をする理由にはなっている。別にみんながみんな、無理に写真でコンセプチュアルにアートしなくてもいいはずだ。

アートだ芸術だ欧米だという前に、ひたすら自分の写真を研ぎ澄ませていくほうが大切だと思う。試行錯誤は必要だけど、思考錯誤している感があった。雰囲気でカッコつけるのは終わりにしてほしい。これまでの写真は素敵なんだよ、本当に。難しいことやってないで、シンプルにかっこいいプリントを作ってよと願うばかり。期待が高かっただけに残念でならなかった。