エクタクローム再生産で20年前を思い出す


写真をはじめたのが2010年ごろで、このエクタクロームが製造終了のことも知らず、再生産のニュースにもそれほどテンションが上がっていないのだけど、実は20年くらい前にフジの工場のバイトをしていたことがあって、ダイレクトプリント部門で三、四年勤めていた。

そこでポジのスライドをロールの印画紙に機会焼きしたり、L版の複製を焼いてたりしていた。周りには巨大な引き伸ばし機や巨大な現像機があった。たまに現像液なんかの劣化をチェックするために検査してデータ取りする仕事もしていた(当時は言われるがままに作業していただけなので具体的に何だったのかわからない)。

大伸ばしの部署のベテラン社員は特に高いプライドを持って仕事をしていて、何十年もの経験を生かして、歴戦のプロやハイアマチュアのシビアな要求に的確に応えられる職人気質の人が多かった。バイトさんの中にはスライドを一目見ただけで適正露光や色補正を言い当てるようなツワモノもいて、社内コンテストでトップを取ることもあり、社員が舌を巻くこともあった。

辞める一年前くらいにはプリントからプリントへの複製はフロンティアが導入されてデジタル化された。アナログの機会焼きから当時最新のスキャニングマシンへと移行した。試験導入後のテストプリントやキャリブレーション、本格実施まではお手伝いした記憶がある。確かフジ製のデジカメでハニカム構造のCCDが初採用された頃だ。

当時はまったく写真自体に興味がなくて、あくまで生活のためだったんだけど、今思うとかなり貴重な経験だったと思うし、今だったらテンション上がりすぎて仕事にならないかもしれない。

今の自分にとっての布石が、その時に既に打たれていて、年月を経て繋がったような気さえする。人生無駄なことがないってのは本当だと思う。