瑛九1935-1937 闇の中で「レアル」をさがす@東京国立近代美術館


近美で瑛九展。これがとても楽しめた。今まで聞いたことがなかったけど、「瑛九」という名前の響きに反応した。油彩の「れいめい」は一見の価値あり。他も見所が多く、フォト・デッサン、いわゆるフォトグラム手法の作品や、油彩、デッサン、コラージュなど手法は多彩を極める。時代的にも技法的にもシュルレアリスムの影響を感じる。

瑛九の作品集がないか調べていると、ひとつの作品集が見つかった。「瑛九画集・久保貞次郎編」。瑛九作品が満遍なくみられる画集になっている。さっそく求めた。しかもこれは特装版で、巻頭に本物の銅版画が4点綴じられている贅沢なつくりだ。刷りは林グラフィックプレスで池田満寿夫監修による。

気持ち的には切り離して額装したいけど、綴じられて成立している特装版なので、それを解体するのは気がひける。そうはいっても40年以上前の本なのでそれ相応にシミがあり、アーカイバルの点からも本当はバラしたほうがよい。できれば版画4点はシミ抜き修復を依頼して別に保管したい。ただし、4点の修復となると安く見積もっても5万円は堅い。そこまでするかという問題もある。いろいろ悩ましい。

さて、ここ2、3年くらいで版画にも興味の枝が伸びている。その中でも銅版画はよい。いくつか技法があって、ドライポイント、メゾチント、エッチングの中でも、よりシャープな線描で構成されるエッチング技法が好み。プレス時に生じるわずかな四角いエンボスが活版印刷のそれと同じで、平面の中に立体感をもたらし、紙の斤量を感じさせ、物質としての魅力が際立つ。写真好きに版画好きが少なくないのも、ペラ一枚の紙の魅力を引き出してくれる技法だからだろう。