森山大道写真展【Odasaku】@POETIC SCAPE

無頼派の織田作之助の短編「競馬」と森山大道の大阪の写真との競作本『Daido Moriyama: Odasaku』の発売記念として開催されている写真展。織田作之助は、通称「織田作(オダサク)」と呼ばれ、わずか7年ほどの活動期間で、かつ33歳の若さで亡くなっており、その濃縮された人生に魅せられるファンは多いらしい。

「織田作って誰?」というところから始まる教養のない自分は、観に行く前に青空文庫でまずは原作を読んでみることにした。短編も短編であっというまに読み終える。エンディングまでの疾走感。読み手の心にひっかき傷を残す一代。瞬く間に破綻してゆきながらも、どこか爽快さすら覚える寺田。軽く妄想させてもらうなら、ぜひ六角精児の朗読で聴いてみたい作品だ。文学の素養は全くないが、こいつは愉しめた。

写真展初日までのひと月あるかないかの準備期間しかなく、通常では考えられないほど駆け足でだったそうだ。そのご苦労は想像に難くないけれど、準備期間を含めた全体にわたる疾走感(失踪感? 疲労感? 悲壮感?)も含めてこの展示は凄味がある。とにかくかっこいい。ただでさえ森山大道の写真はかっこいい上に、そのかっこよさに輪をかけているというか、火に油を注いでいるというか、鉄を熱いうちにたたいているというか、まあ、とにかくウルトラかっこよいわけだ。語彙が拙いのは申し訳ないが、他に小難しい言葉はいらないし、言葉にならない。あーもうかっこいいに決まってるし的な写真展と本書なのだ。

この森山大道による文学オマージュの作品は大好きで、文学好きでもないくせに、太宰と寺山も持っている。読んでいるというより持っているだけなのだが、ヤバいくらいかっこいいわけだ。森山大道の写真がきわめて文学的とは思わないけれど、融合と拮抗が微妙なバランスで成り立っていて、編集の力をまざまざと感じさせてくれる。

今回の本文フォント使いも最高もしくは最強だ。おそらく筑紫Bオールド明朝というクセの強い異端フォントを使っている。写真、文、装丁と渾然一体となっていて、この編集は唸るしかない。このフォントはたしか藤田重信さんというフォントデザイナーの手によるもので、テレビでこのフォントの開発ドキュメンタリーを放送していて、すっかりファンになってしまった。これを選んだマッチアンドカンパニーの町口覚さんの力量に感服する。

展示の写真は印刷原稿のRCペーパーのヴィンテージで、独特のテカリがむしろかっこよい。さらにシルクスクリーンプリントも展示されていて、これがさらにスタイリッシュ。森山大道はハーフトーンが良く似合う。10枚セットのポートフォリオも! これは買えるなら買った方がいい。まあ、買わなくてもいいけど、一度見たら欲しくなること請け合いだ。とにかくこれは会期が短いので早めに観に行った方が良い。ぜったいおすすめ。

森山大道 写真展「Odasaku」
会場:POETIC SCAPE|東京都目黒区中目黒4-4-10 1F
会期:2017年2月15日(水)− 3月5日(日)
会期中無休 13:00-19:00 *通常の営業時間とは異なっております
協力:森山大道写真財団|写々者|マッチアンドカンパニー
展示構成:町口覚

 

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