「みる」の変遷


写真を「みる」意識がすこしずつ変わってきている。写真を始めた当初はできるだけたくさん見ることに重きを置いていて、分母を増やしていく意識が強かった。時間が許す限り多くのギャラリーを巡り、多くの写真集を購入してはめくるようにしていた。同じ「みる」でも、ニュアンスとしては「廻る」とか「覧る」に近かった。興味の幅を広げていく行為だ。次第にギャラリーや写真集の好みも収斂してきて、一か所一か所、一冊一冊をしっかりと「観る」や「視る」という意識に変わっていく。最近はそこからさらに変化して、一枚一枚、一点一点を「診る」とか「看る」という感覚になることもある。実際にできているかどうかは別として、広く浅くから、狭く深くに気持ち的には移行している。これが着地ではなくて、拡散と収斂を繰り返しながら、ちょっとずつでも広く深く学んでいきながら、「みる」力を養いたいと思っている。