毎度楽しみな泉さんの写真展。月光荘の画室3のスペースはほど良い狭さで、泉さんの写真のサイズによく合っている。回を重ねるごとに、多重層の画面構成が堂に入ってきている。繊細なモノクロの階調と相まって、泉さんならではの写真へと醸成されているのがわかる。
写真を一目見ただけで、誰々の写真だと分かるというのは、写真家にとってスタイルを持っているという意味で大切な要素ではないだろうか。泉さんも継続することでスタイルを獲得しつつある。
写真はロバート・アダムスのようにじわじわくる系かなとも思ったけど、どちらかといえばクーデルカとかケルテスとか、きりっとした画面構成に近い気がする。加えておぼろげなレイヤーを含んでいるので、力みがなく穏やか。コンパクト画面に、ユニークな構図が面白い。
気になったのは壁を写したシンプルな構図の写真。見ているとクーデルカのジプシーズを彷彿とさせた。もっともっと引きで撮影していたら、あの下を向く白い馬が現れてきそうだ。え、何? どこ? ここ? っていう距離感も泉さんらしい。コツコツ丹念に継続されている泉さんの写真は、ずっと見ていきたい写真の一つだ。
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