近美の無料観覧日

新年2日は、東京都国立近代美術館の無料観覧日で、ここ3年くらい、毎年この日に足を運んでいる。今年は平成最後の一般参賀ということもあり、お堀周りはいつも以上に賑わっていた。

最初のお目当は、北井一夫「村へ」。学生闘争や三里塚とは打って変わって、淡々とした写真が並んでいる。高度経済成長期に取り残された農村部へ眼差しを向けている。

それから、森山大道「にっぽん劇場」。このボリュームでドンと見られたのは良かった。テカテカのフェロ掛けプリントが良い。

新鮮だったのが、中平卓馬「夜」。1969年の第6回パリ青年ビエンナーレに出品したシリーズで、印画紙ではなく、グラビア印刷。

“写真家が手仕事で仕上げた一点ものの写真作品ではなく、印刷物として、日々社会に大量に流通する写真イメージこそが、同時代における写真のあり方として問題とされるべきだ。”

と、展示のキャプションには有るけど、グラビアのベタがなかなか味わい深くて、これはこれで成立しているし、むしろかっこいい。

下の手前のトラックの後部を写した写真が、恵比寿のPOSTで見た、Sylvia Bataille(シルビア・バタイユ)の「AUTOROUTE」のイメージに近く、興味深かった。