田中大輔 写真展「ひとりの子どもに」 @金柑画廊

初めての金柑画廊は、コンパクトながらとても居心地の良いギャラリーだった。どの駅からもそこそこの距離があるけど、そんな距離感がむしろいいのかも。

マキイマサルファインアーツの3人のグループ展の時に、田中くんは「子ども」の写真に立ち返って、再び向き合いはじめていると言っていた。ゆっくりだけど、先に進んではいるなと思った。

今展では「子ども」以外のイメージも多く加わっている。3人展時にもその傾向があって、限られたスペースながら、見られることを意識した構成になっていた。でもそれは、小さくまとまるとか、角が取れるとかじゃなくて、むしろ、ずぅーんと深くなっている。

田中くんの写真を初めて見た時の違和感がちゃんと残ってくれてる。彼の写真のぎこちなさ、拙さ、抜けの悪さ、不確かさは、ここまでくると強さの支えになっている。

正面を向いた「子ども」の写真は、いわゆるポートレートとかスナップとも違う印象を持つ。彼が声をかけて撮っているのはわかるけれど、関係性が噛み合っていない。まるでハーフミラー越しに対面しているような写真に見える。刑事ドラマの取調室にあるようなアレだ。暗い側から明るい側は見えるが、反対側からは見えない。はたして、どちらが見えていて、どちらが見えていないのか。そんなことを想像してしまう。

それと、進捗が気になっていた写真集。クリップ留めされたマケットが置いてあったので、手に取ってパラパラめくってみる。ほぼ写真のセレクトと順番は決まっていて、ページネーションも予想以上に完成に近づいていた。本当に亀の歩みだけれど、確実に進んでる。期待したい。