A-CHAN「Y-31」─ 懐かしい景色

中2の2学期から8年間、茨城の谷井田に住んでいた。名古屋から引っ越してきたら、転校先の校則に愕然とした。男子は有無を言わさず全員坊主だった。半ベソかきながらその日のうちに床屋で五分刈りになった。偏差値というのがあるのを知る。中3の夏に、生まれて初めて場所と時間を決めたケンカをした。運動神経抜群のちょっとヤンチャな同級生だった。こっちはやり方もわからずほぼ一方的に殴られた。2週間ぐらい顔がごわついた。

globeがミリオンを連発していた頃、外環の谷田部インター近くにあったガソリンスタンドでバイトに明け暮れた。朝、スタンドのイートインでインスタントコーヒーを飲んで、初めてブラックが美味いと思った。その日を境に紅茶派からコーヒー派に変わった。隠居後の暇つぶしにバイトをしてた金持ちのジイさんは、毎週テレ東のファッション通信を欠かさず見ていた。遅番あがりに、社員の兄貴とダイハツのミラターボに乗り込み、地元で人気の味噌ラーメン屋で定番をすすった。

6号線沿いの日清の工場、谷中辺りも馴染みの風景だ。釣りはやらなかったが、小貝川は恰好の遊び場だった。年に一回、取手の花火大会を河川敷で見るのがささやかな家族行事だった。フィナーレのナイアガラはいつも煙が立ち込めてちっとも見えなかった。

A-CHANの見てきた景色は、自分にも懐かしい景色だった。