ササキエイコさんのコラージュ

中目黒のdessinでササキエイコさんの個展「Open the Window」がオンラインで開催された。実際に見ることは叶わなかったが、まさに「今この時」を表現した作品で、とても興味深く拝見した。

自粛生活が続いていた4月。停滞感や閉塞感が漂い先の見通しが立たない中、ササキさんが自主的に製作された作品で、もともと今回の個展は予定になかったとのこと。過去にも個展を開催していたdessinのスタッフの方が、この作品を偶然知る機会があり、発表の場を急遽設けることとなったそうだ。着想を得てからコラージュ作品に仕上げるまでに、わずか1ヶ月ということになる。

タイトルにもあるように「窓」をモチーフにした平面コラージュ作品で、サイズはA5縦くらい。ライトグレー地の真ん中に、窓枠を想起させる四角いの輪郭と、その枠内から覗く外の景色で構成されたイメージ。窓枠と景色の境目はやや曖昧で、全体的に穏やかで彩度が低めな色使いだ。

今の自粛生活で、換気のために窓を開け放つことが多くなり、次第に習慣となった。窓を開閉したり窓の外の景色を見たりする日常的な行為が、数ヶ月のうちに特別な意味を持つようになった。

窓から見える景色は以前と何ら変わらないのに、と思う一方で、こんな状況だからこそ、同じ窓の同じ景色がいつもと違って見えることもある。ポジティブともネガティブともつかない心の揺らぎが生じる。ササキさんの「Open the Window」は、今この時の心の揺らぎを拾い集めたような作品ではないだろうか。

サイトを見ながらしばらく検討する。サムネイルと短いテキスト、入ることができない展示風景を頼りに、ササキさんの作品を購入することにした。初めてコラージュ作品が、今の生活にどんな作用をもたらすのだろうか。

会期中、dessinはSNSで「入店不可」という表現を用いていた。休業中のオンライン展覧会なのでそれはそうなのだけど、「オンラインのみの開催」に「入店不可」と付記すると、この状況がより強調されるように思えた。