AIMYON BUDOKAN -1995-

今回は写真ネタではなくて、何十年ぶりかのライブに行ったというお話です。

大森克己さんのSNSのハッシュタグ「#すべての女は誰かの娘である」がきっかけで知った。ひとまずYouTubeで聴いてみることにした。「君はロックを聴かない」から「生きていたんだよな」「愛を伝えたいだとか」「貴方解剖純愛歌〜死ね〜」など、アップされた動画を公式非公式問わず片っ端から視聴した。

聴けば聴くほど、見れば見るほど、ズブズブと世界観に引きずりこまれていった。新鮮な懐かしさというか、懐かしい新鮮さというか、今昔や新旧を超えた歌詞とメロディだと思った。

ここ数年は音楽を聴くことから離れていた。年齢から来るものなのだろうか。誰となく何となく音楽を聞き流す程度になっていた。いつのまにかCDも買わなくなり、いまだにダウンロードにも抵抗感があったし、Apple MusicやSpotifyなどサブスクリプションの聴き放題もあるけど、YouTubeで事足りた。ずっとそんな感じだった。

それがだ。YouTubeでひとしきり視聴し終えると、アルバム「青春のエキサイトメント」をiTunesでダウンロードし、生まれて初めてファンクラブに入会してしまう。音楽でここまで衝動的に行動したのは今まで記憶にない。

2月18日の月曜日。武道館に集った14,000人の内の1人に加わった。暗転後にセンターステージに青白いスポットが当たり、大きな歓声が上がる。北通路から颯爽と現れ、中央で暫し静かに立つ。

このぞわぞわした感覚は何十年ぶりだろう。

サビ始まりの「マリーゴールド」を皮切りに「君はロックを聴かない」の大合唱までの2時間。凛々しく、雄々しく、清々しく、23歳のシンガーソングライターが圧倒的なパフォーマンスで歌いきった。

退館後、心地い余韻を何かで上書きしたくなかった。スマホで聴きかえすのも今は止そう、と思った。だからあえて別の歌手を聴きながら帰った。