ポラロイドの写真集〈その1〉

今年になってポラロイドで撮った写真集が気になりだして、ちょっとずつ集めている。きっかけとなった最初の一冊はタルコフスキーの「Instant Light: Tarkovsky Polaroids(Thames & Hudson, 2006)」。とろけるような儚くて耽美なイメージに頭を撃ち抜かれた。いまでは手放したくないお気に入りの写真集となった。それからトゥオンブリーの作品集を手に取ったのがきっかけで、他にもポラロイドで撮った写真集があってもおかしくないと思ったら、いろいろと出てくる出てくる。
というわけで今はこんな感じ。一応発刊年代順で。

アンドレ・ケルテス「frome my window」(New York Graphic Society, 1981)

ケルテスは自室の窓辺でひとつのガラスのオブジェを映しこんで撮影している不思議な作品。一般的なケルテスのイメージとは一線を画す。複数のガラスのオブジェを撮影した「The Polaroids」もあるらしく、どういう編集になっているのか気になるところ。

ウォーカー・エバンス「POLAROIDS」(SCALO, 2002)

エバンスのはいま無きスカロ社から出版されたもの。看板や道路標識などのサインなどを集めた写真集。2650点以上から厳選した100点あまりをまとめている。体が弱ってきている晩年のエバンスが、発売間もないSX-70を手に、時間を惜しむように撮り続けたと思うと感慨深い。

アンドレイ・タルコフスキー「Instant Light: Tarkovsky Polaroids」(Thames & Hudson, 2006)

タルコフスキーは写真家にもファンが多いようだ。あの独特の映像美に引き付けられるのもうなずける。先にも書いたが、あの耽美な映像とポラロイドの発色との相性は抜群で、タルコフスキーの世界観を表現するためにポラロイドがあるのではと錯覚するほどのマッチングだと思う。心底からほれぼれする写真集。

ロバート・フランク「Seven Stories」(Steidl, 2009)

ロバート・フランクの作品は、何気ないオフショットをまとめた中綴じの7冊組の写真集。ポラロイドに直接書きなぐられたメモも興味深い。たしか「世界一美しい本を作る男(How to make a book with Steidl)」でこの本の編集作業シーンがあった気がする。アシスタントのA-Chanといっしょになって、楽しそうにちまちまとマケットかなにかをめくっているのがかわいらしかった。フランクは編集者としての力量も知られている。おそらく人任せにできない性格なのと、編集が好きなんだと思う。写真を撮り編集も自ら手がけるやり方は、「メモワール」における古屋誠一と通じる。今は版元完売でプレミアがついてしまっているが、どうやら同じSteidlから再版される見込みらしい。ただし、今のSteidlはかなり予定が詰まっているのでいつになるかは定かでない。

ギイ・ブルダン「Polaroids」(Editions Xavier Barral, 2010)

ギイ・ブルダンのことは全く知らなかったが、ファション界では巨匠とのこと。ポラロイドマスターと呼ばれるくらいインスタントカメラの達人だったようだ。ポラロイドとピールアパートの写真で構成されている。セクシャルで挑発的なイメージは、個人的には守備範囲外なんだけど、あまりのかっこよさに手に入れた。

宇戸浩二「22203㎠」(Self Publishing, 2015)

宇戸浩二「22203㎠」は受注生産品でポラロイドの原寸サイズの印刷物を一枚一枚貼り付けて糸かがり製本をしている。途中からインポッシブルフィルムに切り替わっているので厳密にはポラロイド作品とはいえないかもしれないけど、現物の手製本をみるとコレクションに入れざるを得ない。ルーニィで一目ぼれして予約した。

サイ・トゥオンブリー「サイ・トゥオンブリーの写真―変奏のリリシズム―」(DIC川村記念美術館, 2016)

サイ・トゥオンブリーのは、先のDIC川村記念美術館での展示に際した図録。ポラロイドの原版にしたドライプリントの一種であるフレッソン印刷がエディション作品になっている。本当はこれまで3、4冊出ている「PHOTOGRAPHS」シリーズの方が欲しいんだけど、なんとなく今は図録で満足してしまっている。でもいつか買う。

吉増剛造「瞬間のエクリチュール」(edition nord, 2016)

吉増剛造の「瞬間のエクリチュール」は、一枚一枚手に取れるマルチプル作品になっている。裏面にびっしりと直筆の詩がつづられている。もちろん印刷ではあるのだけど、オリジナルのポラロイドと見まごうばかり仕上がりで、ここまでやるかと思うほどの徹底した再現ぶりだ。版元のエディション・ノルトは新潟の南魚沼に拠点を置いている。最先端の印刷・製本技術を駆使して、主にアーティストブックを手がけている。伊丹豪のアクリル表紙の無線綴じは驚愕かつ変態的な特許技術だった。伊丹作品の変態的でソリッドなイメージにぴったりだ。

インスタントカメラは小学校四、五年生の頃に家にあった。たぶん父親が買ったんだろう。その時に飼っていた猫や自分の写真がまだ残っている。記憶をたよりにググってみると、どうやら当時の機種はボック型の600シリーズだったらしい。カラーは黒だった気もするが、はっきりと覚えていない。

ポラロイドは撮ってすぐに像が出るので、その場で共有することができる。その即時性はとてもSNS的。今になってチェキやインポッシブルが支持されるのもわかる気がする。そういえば、チェキのスクエアフォーマットが発売されるらしい。これは使ってみたい。

なんとなく思いつきで、シノゴを始めてみようと思っている。コダックやフジのシートは高騰と廃番の一途。さえない状況だけど、フォマとかなら価格的にまだまだいける。にしてもフジには4x5のピールアパートは残してほしかったな。チェキのスクエアもうれしいんだけどね。まあ、いっそチェキの4x5でもいいからさ。

ポラロイドの写真集〈その2〉はこちら

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