志鎌猛展「観照」@美術画廊X(日本橋高島屋S.C.)

日本橋髙島屋で志鎌猛さんのプラチナパラジウムプリントを拝見した。日本では中長小西以来5年ぶりの個展だ。そうか、あれからもうそんなに経つのか。

腰を据えて、撮るべき時をじっくりと待ってから撮影された「森の襞」や「観照」に代表される大判の作品と、都市部や植物をとらえた中判作品で構成されていた。低コントラストの穏やかなイメージの中の無限階調は、まさに「諧調」豊かなプリントだった。眼福の極みだ。

5年前、中長小西で初めて志鎌さんのプリントを見る機会を得た。その頃プラチナパラジウムプリントの美しさに触れ始めていて、志鎌さんがとらえた幽玄の世界に魅了され、意を決して作品を購入した。支払いは一年ほどかけて分割でお願いした。一括で払うには高めの価格だったこともあったが、コツコツ払うのも良いのではと思ったのだ。

ギャラリーによっては作品の先渡しができるも所もなくはないが、基本的には全額を支払い終わってからの納品となる。少しずつ無理のない範囲で支払うこと一年後、ようやく完納して作品を受け取ることができた。改めてプリントを見ると、初見の感動が呼び覚まされて、とても感慨深かった。

今回、5年ぶりに拝見したプラチナパラジウムプリントは、どこまでも繊細で優しさに満ちた作品で、志鎌さんの穏やかで真摯な人柄と相まって、とても豊かなひとときだった。

RADIO SWITCHを聴く

switch_37

『SWITCH Vol.37 No.3 特集 奥山由之 写真の可能性』の対談もいいんだけど、ラジオってのがまたいいんだよね。森山さんは言わずもがな、奥山さんも、いい言葉を持っている。それに二人ともいい声をしている。聴き入ってしまった。

写真のスタイルは違うかもしれないけれど、通底している感覚はとてもよく似ていて、世代を超えて互いに共感している様子だった。

これを聴いてなんとなく、自分がお二人のプリントを所有している理由がわかったような気がする。根底にある写真観に共感できたからかもしれない。まあ、無理に共通点を探したり、結び付ける必要もないんだけど。

町口さんの写真集愛、造本愛がビシビシ伝わってくる。初めて聴くことも多かった。短い時間だけど濃厚な内容だった。で、相変わらずかっこいいです。『Daido Moriyama: Odasaku』読み返そっと。

  • 前半【写真家・奥山由之と森山大道が見た景色。】
  • 後半【町口覚インタヴュー】

RADIO SWITCH | J-WAVE | 2019/03/02/土 | 23:00-24:00 http://radiko.jp/share/?t=20190302230000&sid=FMJ

暗くて明るいカメラーの部屋@横浜市民ギャラリーあざみ野

話題沸騰の野村浩さんがゲストキュレーターとして招聘されたカメラと写真のコレクション展にいってきた。昨年から楽しみにしていた企画展。しかも長島有里枝さんと対バン! 何というコントラスト、もちろんいい意味で。

カメラオブスクーラ(オブスキュラ)から始まり、写真の起源、カメラの起源とその変遷を辿りつつ、現代の写真(画像)に繋がる写真史の黎明期を中心に組み立てられている。

というのは、カメラや写真の所蔵展などではさして珍しくもない企画なんだけど、そこに野村浩さんのカメラーの世界観が触媒になることで、格段に味わい深くなっていた。

「双子」のセクションなんて、野村さんの「Doppelopment」と絶妙にシンクロしててゾクッとするし。鏡も蓄光シートも延々と楽しんでしまった。

最終日の大森克己さんのとトークもすごかった。野村さんのメタ視点を的確に捉えながら、自身の写真感を巧みに展開していて、一言一句聴き逃せない内容だった。

それにしても、これほどキュレーションの意味がある所蔵展ってなかなか類を見ないし、他ではあり得ないかも。単体でも魅力的なのに、所蔵品と野村作品が互いに共鳴して増幅してさらに面白くなってる。

本当に奇跡的なコレクション展だった。