染谷學写真展「艪」@蒼穹舎

いつも楽しみにしている染谷さんの写真。やっぱり見入ってしまう。

今回は135のみでまとめられていて、少しばかり距離感のあるイメージが多かった。染谷さん曰く「いつもの6×6の窮屈さから解放されて、広がりを感じたかった」からだそうだ。

前にも書いたけど、染谷さんの写真は、上澄みのようなプリントの中に、澱(おり)のようなものが残っている写真だと勝手に思っている。全体的に澄み渡ってもいないけど、濁ってもいなくて、完全に分離もしていない。下方に向かうにつれ透明度が低くなり、底には何かが沈んでいる。そんな不思議な魅力を感じるのだ。

お気に入りは、ベンチに座るカップルらしき写真。ただいちゃついているのか、別れ話を切り出しているのか分からないが、とても気になる一枚。もうひとつは、遠目に写るキャンピングカーの写真で、こちらは部屋に飾りたい一枚だった。

70年代の森山大道ベスト写真集を挙げるならこれ。

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Title: MORIYAMA Daido 1970-1979
Auther: Daido Moriyama
Editor: Michitaka Ohta
Publisher: Sohkyu-sha, Tokyo, 1989

図録を除いて、70年代の写真をまとめたものの中でこれがベストだと思う。
「何かへの旅 1971-1974」も良いし、手元に置いておきたいけど、一冊選べと言われたら前者になるなあ。