尾仲浩二さんのモノクロの世界

尾仲浩二さんの写真集「Faraway Boat」は昨年10月にすぐさま予約購入した。そのモノクロが見られる待望の個展だったので、矢も盾もたまらず初日に観に行った。写真集も傑作だけど、プリントも最高。とにかく、尾仲さんの写真は、いったん5W1Hを脇においてじっくり観るのが良いな。

いろいろ書きたいことあったけど、天野太郎さんとの対談動画を見たら、もう自分の文章なんて別に良いかなって思っちゃった。だってコレ凄いよ。写真の面白さが濃縮されてて、頷くことしきりだから。珠玉の対談。

前編は身悶えする面白さだし、後編はのたうち回る面白さだからね。(語彙力)

四の五の言わずに視聴すべし。

Talk|尾仲浩二 × 天野太郎(前編)|2020/10/3
Talk|尾仲浩二 × 天野太郎(後編)|2020/10/3

亀山仁写真展「Tedim Road」を観て

少し前になるが、亀山仁さんの写真展「Tedim Road」を拝見してきた。第二次世界大戦中のインパール作戦の地、テディムロードが舞台になっている。かの地は「白骨街道」とも呼ばれていて、その名が戦時中の凄惨さを今に伝えている。

亀山さんの写真は、いわゆるジャーナリズム的な写真ではない。出会った人たちが負う歴史的な背景をしっかりと踏まえて、本人から語られる言葉に真摯に耳を傾けながら、人々や村、街を写真に収めている。それでいて恣意的にもならず、ひとつの結論に誘導するでもない。

ある種のドキュメンタリーと言えるかもしれないが、そういう既存のカテゴリーに捉われない、亀山さんならではの視座、佇まいがあり、独自のスタイルを確立している。補足資料に載っていた作品一枚一枚にまつわるエピソードはとても読み応えがあった。当時を知る人だからこそ語り得る内容ばかりで、今回の作品にさらに奥行きをもたらしている。

個展も回を重ねて、時間が経てば経つほどに、撮る意味、発表する意味がさらに増してきている気がする。亀山さんとミャンマーは、ライフワークとしてこれからも長いお付き合いになるであろうし、亀山さんが撮るミャンマーと私も長いお付き合いになるのだと思う。

私事だけれど、母方の祖父はビルマで戦死していて、私は一度も会ったことがない。母も父親でありながら思い出はおろか記憶すらないと言っていた。小学校の夏休みに帰省した時に、古びたアルバムの中のセピアに褪せた祖父の写真を見せてもらったことがある。当時としては珍しくすらりとした長身で彫りが深く、少し首を傾げて優しげな表情を浮かべていた。母にとっても私にとっても、父(祖父)の面影を知る唯一の手がかかりは、このアルバムの写真だけだった。

亀山さんのミャンマーの写真を見ていて、そんなことを思い出した。

作品購入についての覚書

  • コレクションは自分の所有物(煮るなり焼くなり好きにして良いという意味で)ではなく、生きている間、作品を預かっているという考えに共感している。
  • 自分が亡くなっても、作品は受け継がれてほしいと思っている。
  • コレクターと呼ばれると面映いが、最近は慣れてきた。
  • 作品を買うには、肚を決められるかが鍵。
  • お金があるから買うわけではない。
  • お金が無いから買わないわけでも無い。
  • 今は基本的にギャラリーを通して買いたい。
  • ギャラリーと作家との信頼関係を大切にしたい。
  • 買うギャラリーはだいたい決まってきた。
  • 初めてもしくは1,2回しか行ったことがないギャラリーではあまり買わなくなった。
  • そもそも行くギャラリーが絞られてきた。
  • 無所属の作家から直接買うことがあるとすれば、作家や作品への信頼が高いときに限る。
  • 買うとなったらあまり躊躇わない。
  • 決めかねたり悩むときは買わないことが多い。
  • たまに行く前から買うことを決めいていることがある。
  • ごく稀にどれを買うかも当たりがついていることがある。
  • 買うとなったらシビアに選ぶ。
  • ノリや勢いや見栄で買わない。
  • 身の丈を知り、少しの無理、ちょっとの背伸びはしてみる。
  • 部屋に飾ることを前提に考えている。
  • でも、シートのままとかブックマットのみの作品も見るのが好き。
  • 基礎知識として美術史、海外アート市場について知っておいて損はないと思っている。
  • でもアートの文脈で作品を買うことはない。
  • ギャラリーでエディションや価格、作品証明書などの作品管理がしっかりしている方が好ましいがマストではない。
  • でも結果的に作品管理がちゃんとしているギャラリーで買っていることが多い。
  • 作品に見合った整合性や必然性のある品質や仕上げを突き詰めている作家やギャラリーほど惹かれる。
  • 作品の現実的な保存方法(アーカイブ)の知識は大切たが、美術館レベルの保管方法(コンサベーション)ほどの厳格さは求めない。
  • 保存には気を配りつつ、ある程度の経年劣化は受け入れる。
  • グループ展より個展の方が買いやすい。
  • 特にこれらは固定化された流儀とかルール、信条ではないので変化していくし、増えたり減ったりする。