fotochatonのブログ。

代官山にあるアンティークな写真機店。1974年以前に製造された作りの良いレンズ、大判カメラ、暗室用品などを所狭しと並べて販売している。店主の井上さんの造詣は底なし沼のように深く、訊いていないことでも来るやいなやお話しくださる。非常に愉快な人だ。その最新情報を提供するのがこのブログ。週に1,2回の更新ながら、「フォコマート入りました」だとか、「大判レンズオーバーホール中」だとか、このご時世あまりお目にかかれないような品物の話題を提供してくれる。一度行くと1時間は帰してくれないから覚悟が必要だ。

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出口こずえ写真展「緑羅」。

ギャラリー冬青の出口こずえ写真展「緑羅」を観てきた。

これほどまでにトーンが限定されながらも美しいプリントを見たことがない。遠目から見ると真っ黒なプリントが並んでいるだけ。何が何だかわからない。しかし、近寄っていくにつれ、一枚一枚が、徐々に像を浮かび上がらせて、草花が目に飛び込んでくる。

ディープシャドーから次の次の、その次のグレーまで。その限られた階調のみで被写体を写しだしている。これが恐ろしく美しい。

作品の完成像が見えていて、そのベクトル向かって、撮影する季節、時間、現像、プリント。ありとあらゆる条件を徹底的に限定して作られる。割り切りと潔さは感服するしかない。

女性の写真家には、「どうしてそうやって撮ったのですか?」という質問に対して、「これしか知らないから」とか、「これにしか興味がないから」としれっと言う方が多いきがする。

自分で限定するだけでなく、知らないから、興味が無いからという理由で、自ずと限定されてゆくのだ。これが作品の力を生む気がする。これには敵わない。

この作品に出会えたことに心から感謝したい。作品に誠実に取り組まれている写真家の方がおおいに活躍されることを願ってやまない。そんな気持ちにさせてくれる作品だった。

写真に興味が無い人でも、ぜひ一度見に行った方が良いと思う。自分にとってそれくらいの驚きだった。

バライタ。

ラボテイクのワークショップで、参加者のひとりからバライタを小分けして頂いた。期せずして初めてバライタを焼く機会に恵まれることとなった。確か「ADOX Premium MCC 110」だったと思う。

後でわかったことだが、なかなか高価なバライタだった。知る人ぞ知る「Agfa Classic 111」の復刻版的な印画紙らしい。フィルムをやり始めて数年の自分にとって、そんなこと知る由もなかった。

提供者から「遠慮無く使ってください」と言われるが、「じゃあ、遠慮無く」とはなかなか言えない。細かく千切っていただいた紙片で段階露光から始める。

RCと工程はほぼ一緒で、現像液に着ける時間が長いくらい。現像工程で徐々に水分を含み出し、心なしかしんなりと重くなってくる。ほほう、本当に紙ベースなんだな、と感心する。素人丸出し。

数回のテストピースを検証して、濃度とコントラストを決める。はたして本番の一枚を仕上げた。なかなかどうして感慨深いものだ。

乾燥とフラットニングに3,4日必要なので、その日は預けて後日受け取りとなった。職場が近いので平日に直接受け取りに行く。

しっかりと乾いたプリントはドライダウンでやや濃度が高くなっていた。まあこれもいい感じ。初バライタは自己満足ながら上々だった。

思いっきりバライタに興味を持ってしまったので、近々もっと焼きたくなってきた。まずはバライタを買おうと思う。さて何にしようかな。

ライボテイク。

恵比寿にあるプロラボ「ラボテイク」のモノクロプリントワークショップに行ってきた。担当はベテランプリンターの金子典子さん。数多くの写真家に信頼されるプリンターのひとりだ。写真作家としても活動されている。今回初めてお目にかかった。非常に物静かで穏やかな方だった。

金子さんは、ラボテイクに事務職として入社し、その後、自ら名乗り出てプリンターの道に進んだという異色の経歴を持つ。

そのワークショップ(WS)は、一般的なそれとは趣が異なる。いうなれば、貸し暗室とWSの中間のようだ。ある程度暗室作業に慣れている人なら、本人の裁量で進めさせてもらえる。定員3人の中に、初心者から上級者まで混ざっていても構わない。各々のペースでやれるのだ。

テストピースを見せに行く。どの濃度が好きかと訊かれる。それをベースにテストして、次にコントラストを決める。自分は2号付近が好きらしい、とわかる。覆い焼きや焼き込みで調整する。その繰り返しで、作業は進む。一枚仕上げるのに時間をかける。

一人でやっていると、元を取ろうとたくさん焼こうとして、結局たくさん焼けた以外に収穫がないことが良くある。次の課題を見つけてこそ、ステップアップになる。暗室は一つひとつの作業を意識して、問い続ける場所なのだ。それに改めて気づかされた。

ラボテイクで一番驚かされたのが、回転ドアだ。秘密基地よろしく、存在感ある回転ドアだ。機会があれば実際に見てもらいたい。一見の価値がある。

日常にライカ。

最近、出勤日でもTMY400を詰めたライカを持ち歩くようにした。理由を挙げるとグループ展の作品作り、となるかな。でもそれはきっかけに過ぎず、ただ持ち歩きたかっただけだ。

通勤時やお昼休みに、数枚だけレリーズボタンを押す。時間が限られているからこそ、ライカの速写性を実感する。露出を決め、フレーミングをし、シャッターを切るまでどれだけスムーズなことか。

露出計はあまり使わずに、だいたいの勘で撮る。これがいい。使う露出の組み合わせは数えるほど。後は微調整で。これも勘。

多少の当たり外れはあるけれど、フィルムの濃度は意外と揃っている。面白いもんだね。夏の日中は輝度差が激しいからトーンが出にくいけれど、その辺を工夫するのも楽しみの一つ。腕はへぼだけれど、まあいいか。

こんなに長く続けてゆきたいと思ったことは今までに無い。無趣味で通っていた自分にとって奇跡的なことだ。

写真に出会えて本当に良かった。つくづくそう思う。

暗室作業。

地元の文化会館に貸し暗室がある。薬品は持ち込みだが、賃料は非常にリーズナブルでありがたい。自転車で行ける距離なので、ペットボトルに小分けした現像液、停止液、定着液、そして四切と六切の印画紙を携えてもわりと楽ちんなのだ。

自分は細かな暗室の知識も技術もないので、ほぼストレートプリントしかできない。露光時間を調節するだけでも手一杯だ。焼き込みや覆い焼きもやらないではないが、まずはストレートでたくさん焼きたいという思いが強い。

印画紙はオリエンタルのRCばかりだ。しばらくケントメアのファインラスター(半光沢)を使っていた。いいトーンが出やすいと言われたことがあって試していた。確かにグロッシーに比べて反射が半減するからか、柔らかなトーンが確認しやすい気がする。

先日そのケントメアを使い切ったので、またオリエンタルに戻した。久々にオリエンタルで焼いてみると、自分は光沢が好きかもしれない、と思った。汎用性があるというか、癖がない分ストレートプリントにはいいみたい。

まだまだRCで数をこなしたいところだ。バライタは8月に入ってからでもいいかな。グループ展は9月。まだエンジンかけたばかりだけど、プリントに精進したい。

それ以上に、自分は何を撮るのか、何を見ているのか、それを見いだしてみたいと思う。まだまだこれからだ。

The Short Epic

Blitz Galleryのギャラリストの福川芳郎氏のブログ。福川氏はアート写真をマーケットに浸透させるべく、日夜精力的に活動されているギャラリスト。フォトマーケットの今を冷静に読み取り、深く掘り下げたコンテンツは一読の価値あり。なお金融マンだった経歴からか、為替や株相場などの経済情勢を踏まえた視点が強い。ファッションフォト推しなのでその辺は好みが分かれそう。
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