川田喜久治「エンドレス マップ」を観て

写真集「地図」は月曜社版もナツラエリ版も見たことがなく、唯一Akio Nagasawa版のサンプルをめくったことがあるくらいだ。あのAN版は定価がプレ値のようなものだったので、さすがに手が出なかった。

プリントは2016年に平塚市美術館の企画展「香月泰男と丸木位里・俊、そして川田喜久治」で84点を見ることができた。あれは圧巻の展覧会で本当に観に行けてよかった。川田喜久治の「地図」を初めて体験できた日だった。

久しぶりにPGIでプリントの「地図」を観れるとあってかなり楽しみにしていて、会期2日目に足を運んだ。今回の「エンドレスマップ」は、手漉き和紙にインクジェットで新たな「地図」を制作している。微かに光沢のある手漉き和紙に、モノトーンの「地図」がどっしりとプリントされていた。

もちろん見覚えのあるイメージがあるにはあるのだけれど、かつての「地図」というより、現在の「地図」と思わせる鮮度があり、新作を観ているような気さえした。もっと言えば、これからの「地図」を予感させた。

これまで何度か川田喜久治さんの凄さを、いちファンとして語ってきたけれど、これほどの創作意欲を長年にわたり維持しながらも、常にアップデートし続けて、圧倒的な速度と強度をもって発表し続けていることに、毎度ながら畏敬の念を抱いてしまう。

川田さんを年齢を条件に語るのはもはや無意味ではないだろうか。世代別ではなくてむしろ無差別級こそ主戦場であり、その強さを発揮すると思う。

川田さんのInstagramからセレクトされた新作写真集「20」も抜かりなく手に入れた。これはこれでまたヤバい。読む用、保管用、見せる用の3冊必蔵かな。また、新たな「地図」の写真集も発売予定らしい。これはまた楽しみ。川田さんらしく、再編というか新解釈というか、復刻版ではない「地図」を読んでみたい。もし復刻版だとしても、手に取りやすい、求めやすいものであったならきっと買うと思うけどね。