野村浩さんの個展、第一部を観る。

待ち侘びた野村浩さんの個展が始まった。まずは第一部「101 EYES’ GLASSES Paintings」を観に行ってきました。目玉のあるショットグラスが描かれたペインティング作品101点。ギャラリーに入ってすぐ、こっちが観に来たはずなんだけど、案の定めっちゃこっち見られてる気がするし。多勢に無勢で敵いっこない。でも、これこれこれなのよ。見る見られるの定位がひっくり返ったり崩れたりする感覚。これが楽しいわけ。野村浩の世界へようこそって感じ。個展に寄せたテキストに「絵の飼育」と表現されていて、確かにそうでしょう、そうでしょうとも。すくすく育ってますとも。何のこっちゃわからない方は、ぜひ足を運んで確認してください。

今回の作品は水平に横一文字で飾られていて、ギャラリーをぐるっと一周する構成になっている。上下左右に散らしたり壁一面を埋めたりする遊びのある構成ではない。しかも、いつもなら床面からの一定の高さを保って掛けらるのに、床面からの距離はお構いなしに絶対水平で掛けられている。ポエティックスケープは中央の細い廊下から一段小上がりになっている。いつもはその小上がりから作品も一段高く掛けられることが多い。その方が観賞者の目線が一定になり見やすいから。でも今回は絶対水平。観賞者よりも作品を優先したというか、優遇したというか、あまりない試み。

一点一点真剣に観る。多分皆さんが思っている以上に真剣に。本気と書いてマジと読むように、真剣と書いてガチと読むんです(?) 観れば観るほど、居れば居るほど、語れば語るほどに、深い深い底無しの沼へ引き摺り込まれる。もう楽し過ぎるでしょ。ギャラリーでは努めて穏やかにそして和やかに観ていましたけどね、心の中ではガッツポーズ決めながら、くるくる小躍りしてはしゃぎ回ってましたよ、ほんとに。下手くそな昇龍拳状態ですよ。

で、奥のスペースに入ったら、リアルなショットグラスが101個、整然と並んでるのを見てノックアウト。これは実際に行って見て聞いて語りあって見るべしです。このショットグラスについてはそんなに書かないでおきます。すっごい装置ですよこれ。

第一部、まずは一巡目を堪能しました。もう一回くらいは観たい。それから第二部もかなりの力作と聞いているのでこれまた楽しみです。とにかく鬱屈とした日々ですからね、いい意味で揺さぶりをかけてくれる作品に触れると、よしいろいろがんばろうってなります。ちなみにショットグラスも買うと、家でも個展の延長戦ができます。クリア後の世界の方が奥深いみたいなやつです。