[写真集]UNDERCOVER – Onnis Luque

写真家であり建築家でもあるオニス・ルケの写真集「Undercover」。今年の1月に独立系の写真集出版社The Velvet Cell(以降TVC)から予約販売されていたのをみつけて、プリント付きの特装版を予約していた。ちなみにデザイン編集は、写真集としては空前のヒットとなっている「Carpoolers」でおなじみのアレハンドロ・カタジーナも参加しているのも注目。

先日無事に届いたので開封してみると、思っていたよりしっかりした造本で驚いた。もう少しラフな冊子だと思っていたからうれしい誤算。判型もA4より一回り大きい22x33cmで存在感がある。そもそも買う時にサイトの情報を確認してなかっただけなんだけど。判型が大きいのと用紙の斤量も厚めで、本の厚み以上にずしっと重たい。しばらくして気づいたけど、奥付に用紙の種類と斤量まで記載があった。なんか親切。

海外の写真集では珍しくダストカバー付き。厚手のトレーシングペーパー製で、この写真集のモチーフになっている防音シートの写真が印刷されていてる。防音シートとは建設中もしくは解体中の建物を覆って現場の騒音を軽減するための幕のことだ。その防音シートが印刷されたカバー越しに、白地の表紙に印刷された「UNDERCOVER Onnis Luque」が透けて見える。シート越しに見える建物をイメージした仕掛けで、カバーも含めて作品の世界観を表現している。

中を見てみる。途中寄稿文を挟み、ひたすら防音シートで覆われた建物のモノクロ写真が続く。最初は寄りの写真で始まり、中盤からは建物全体が見える引きの写真が多くなる。1ページにひとつの建物と、見開き2ページでひとつの建物が混ざり合いながら多少のリズム感はありつつも、坦々と建物の写真が続いていく。

私はこの防音シートに覆われた建物が好きで、スマホでもつい撮ってしまう癖がある。だからTVCで見つけた時に、こういう写真集を待ってましたとばかりにジャケ買いをした。だから、サイトのテキストをろくに読んでいなくて、なぜオニス・ルケ氏がこれらの建物を撮っているのかを理解していなかった。

写真集を一読した後、サイトのテキストを改めて読んでみた。私はずいぶんと思い違いをしていたようだ。それでもジャケ買いがきっかけでオニス・ルケ氏がなぜ幕に覆われた建物を写真集にしたのかを知ることができた。きっかけは何でも良い。そこから何を知って何を考えるかが大事ということ。

さて、自分の解釈で感想を述べてもよかったのですが、やはりTVCとオニス・ルケ氏のテキストを読んでもらう方が良いと思い引用することにしました。DeepLで自動翻訳して「ですます調」に統一。単語、文章には手を加えていません。英語原文ままでないことはご了承ください。

2017年9月19日、メキシコシティ近郊でマグニチュード7.1の地震が発生しました。首都の多くの建物が破壊され、現在までに少なくとも200人の死亡者が報告されています。この地震は、1985年に発生したマグニチュード8.1のメキシコシティ地震からちょうど32年目の年に発生した。 ジャーナリストの調査によると、被害を受けた建物の多くが不適切な基準で建てられていたことが判明しました。国と不動産会社との間の汚職が、多くの不必要な死をもたらしたことが判明したのです。写真家であり建築家でもあるオニス・ルケは、これらの出来事を作品の中で取り上げたいと考えました。両方の地震を経験した彼は、これらの悲劇が生み出す不確実性について、視覚的なメタファーを作りたいと考えました。

「あの日、多くの人が亡くなりました。このことについて何か言いたいことがあったのですが、感情的に圧倒されてしまいました。そこで私は、黒く覆われた建物を無意識のうちに弔いのサインとして使えるのではないかと考えました。それらの多くは、地震によって損傷を受けたものであり、他方では怪しい契約によって開発された新しい建物でした。『Undercover』では、メキシコシティの組織的な腐敗という問題に光を当てようとしています」 – オニス・ルケ

(The Velvet Cellのサイト内のテキストをDeepLにて自動翻訳)