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最初に買ったオリジナルプリントは、ある若手写真家のCタイプのカラープリントだった。それまで実用品(カメラ機材も含む)以外で何万円もの買い物をするのは初めてで、自分のお金の使い道としては異例中の異例だった。
写真のワークショップに半年通って、写真を販売するギャラリーがあることを知り、写真を買おうと思えば買える世界があることを知った。その時はまさかそこまでは無いなと思っていたが、講師のある言葉だけが耳に残った。 続きを読む
加納さんの写真展を観賞した。逆光に映える石畳の路。街灯で浮かび上がる夜の海辺。艶やかに光るフィアットのボンネット。情熱のというよりも、情緒のイタリアを垣間見せてくれる。
いつ見ても加納さんのバライタプリントは素直にいいなと思う。その要因として、見る側が入り込む余地を残してくれているから。それが情緒や余韻を感じさせるのかもしれない。
ストリートスナップとランドスケープの狭間を行き来しているようでもあり、決めすぎない微かな揺らぎがある気がする。そう展示全体に即興演奏のようなライブ感がある。組み写真としてある程度はまとめながらも、その時に面白いと思ったテンションを一枚一枚に込めている。
まず自身がプリントに愛着を持って、暗室で焼くことを楽しんでいる。そして見る人へ、プリントを買う人へのサービス精神も忘れない。
カメラマガジンやライカ通信の印刷物で加納さんに出会った人も多いことだろう。私も実際そうだった。でも加納さんの真骨頂は一期一会のバライタプリントにこそあると思う。一度は生のプリントを見て欲しい写真家だ。
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