写真を通して。(2)

2年ほど前の話。

ある日、気まぐれで、初めて中古カメラ屋に訪れた。何もわからなかった。カメラのことも、中古カメラ屋のことも。

そこで目に留まったのが、ガラスケースにずらりと並んだライカだった。

理由はよくわからなかったが、機体に惹きつけられた。ライカコーナーを一通り見渡す。

どうやらM3という機種が王道らしい、ということがわかってくる。また、くまなく見渡す。時折、ジッと見る。また見渡す。気後れして店員に訊けない。というか、何を訊いていいかわからない。

そうこうするうち、Leica M4 Black Chromeという機種で脚が止まる。プライスタグを見ると、製造が自分の生まれ年だった。俄かに体温が上がった。

15分だけ考える。

けっきょく購入した。値段は気にしなかった。

その後、ライカについては後から調べた。もちろん興味が湧いたからだが、買った後悔が頭をもたげないうちに、それなりの価値を知り、自分を納得させたかったからだ。

それが写真と自分との始まりだった。