2年ほど前の話。
ある日、気まぐれで、初めて中古カメラ屋に訪れた。何もわからなかった。カメラのことも、中古カメラ屋のことも。
そこで目に留まったのが、ガラスケースにずらりと並んだライカだった。
理由はよくわからなかったが、機体に惹きつけられた。ライカコーナーを一通り見渡す。
どうやらM3という機種が王道らしい、ということがわかってくる。また、くまなく見渡す。時折、ジッと見る。また見渡す。気後れして店員に訊けない。というか、何を訊いていいかわからない。
そうこうするうち、Leica M4 Black Chromeという機種で脚が止まる。プライスタグを見ると、製造が自分の生まれ年だった。俄かに体温が上がった。
15分だけ考える。
けっきょく購入した。値段は気にしなかった。
その後、ライカについては後から調べた。もちろん興味が湧いたからだが、買った後悔が頭をもたげないうちに、それなりの価値を知り、自分を納得させたかったからだ。
それが写真と自分との始まりだった。