写真を通して。(3)

3年くらい前の話。

Leica M4と出会う前、「GR Digital 2」に一目惚れをする。単なるぱっと見、外観が物欲をくすぐった。どうやら性能もいいらしい。その程度の知識だ。それでもカメラに一目惚れをするなんて経験は初めてだったし、自分の中でやたら盛り上がってしまって、通販で買った。

仕事でたまたまリコーのコンデジを使っていたが、ただ使っていたというレベル。写真のキホンなど知らないし、知ろうとも思っていない頃だ。ましてや、GRが高級コンパクトで名を馳せたことなど微塵も知らなかった。

とにかく撮った。パシャパシャ気楽にシャッターを切ってもそれなりに写るので、それだけで楽しかった。

単焦点レンズのことも、絞りやシャッタースピードも、ホワイトバランスもよーわからんままだった。でも何か撮れてしまうので、自分で写真がうまくなっていると明らかに勘違いをしていた。

その次に、手に入れたのが富士フイルムの「Natura Classica」だった。これがフィルムカメラのスタートと言える。

ISO1600はおろか、感度の意味すら知らない。あの独特の写りにおもしろみを感じただけだ。

今になってこの流れを見ると、「GR」や「ナチュラ」なんてずいぶんミーハーな手の出し方をしているな、と我ながら思う。

けっしてキヤノンやニコンではないのだ。その辺は写真部だったり、写真科出身とは訳が違う。素人の発想だった。

ナチュラで撮ったら、同時プリント。「あっ、自動補正無しでお願いします」なんて訳知り顔で注文した。

おもしろいんだけれど、よくわからないな、という想いがしばらく続く。

ライカと出会ってもそれは基本的に変わらなかった。